第53回日本作業療法士学会、竹林先生の講演、友利先生のシンポに参加しての所感

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会場だった福岡国際会議場


おはようございます、imzです。

 

久々にブログをスラスラ書けそうな気がしてます。

(と記事を書き始めて、さぼりも入って、はや2週間が経とうとしています。←と記事を書きかけて1ヶ月経過。汗)

 

そうです、福岡で開催された第53回日本作業療法士(以下OT)学会に初日の1日だけですが、参加してきたのです。

 

今までは大変恥ずかしながら、リハケア学会で一度ポスター発表で参加した位で、正直、日本OT学会に対してそこまで関心はありませんでした。

 

しかし昨年、Twitterで日本OT学会の熱がある参加者の様子が流れてくるのを眺めながら、「行きたい!これは作業療法士として絶対行かないといけない!」と感化されました。

 

すると今年の日本OT学会が近県の福岡であるということが分かり、もはや行く以外の選択肢はありませんでした。

 

ただ、今となっては言い訳ですが、

 

①臨床の日々で単位もきつきつ、研究もしないといけないという気持ちはありつつ、時間が中々確保できない⇒とりあえず今回は聴講のみ、

 

②0~5歳の子ども3人を妻ひとりに任せて、宿泊しながら数日間参加は、間違いなく家庭の平穏が乱れるのと、初日に聴きたかった竹林先生の講演と、友利先生のシンポジウムがある⇒初日のみに参加

 

という選択になりました。

 

当日は、早朝(4時半起き)からの野球があったり、家事や子どものお世話を妻と一緒に済ませてから、新幹線・バスを乗り継いでとなったので、13時頃会場に到着、

 

①リハビリ参考書の選別と購入

②気になるポスターのチェック

③友利先生のシンポジウム

④竹林先生の講義

⑤再度ポスター会場

 

という流れののち、18時前帰宅へなりました。 

 

では早速、所感を述べていきたいと思います。

 

 

 

1.学会の雰囲気

 

めちゃくちゃ沢山の方がいて、熱気があります。みんな賢そうにみえます。笑

 

Twitterのある方の情報ではOTは4000人参加したそうです。OT協会の会員は60,000人(2018年の協会調べ)らしいので、日本のOTの15人に1人が参加したことになります。

 

 

また、これもTwitterを通しての感じですが、阪和記念病院の徳田和弘先生が口述発表されたのを始め、竹林先生のツイートのリプを見てみても、PTの方の参加も多かったのではないかと感じました。

 

 私はOTになって10年強経ちますが、身体障害分野のリハビリ界のイメージは世間的にも業界的にもPTが強く、OTって何すんの?って感じが世間的にも業界的にもあって、弱小産業みたいに感じていたので、このことはとんでもなくすごいことだと思っています。

 

作業療法士としてのアイデンティティが高くなかったという方は私含め、少なくなかったと思いますが、竹林先生の発信するツイートなどの情報から作業療法士としてのアイデンティティが確立されていったという人は結構数いるのではと勝手に思ってます。

ありがとうございます、竹林先生という感じです。

 

 

 2.友利先生のシンポジウム

 

 

友利 幸之助先生とは、ADOCの開発者の一人で、「作業で創るエビデンス」を執筆されたお一人です。OTジャーナルやツイッターで、OTのエビデンスの構築の必要性を語ってらっしゃるのを拝見し、とても心に響いていた方です。

 

しかし、作業療法エビデンス構築をしたい・必要性は理解していても、いざ現場レベルではどうすれば良いか分からないのが正直なところでした。

 

そんな中、今回学会で、「作業に焦点を当てた臨床研究の探求ー事例報告からランダム化比較試験までー」というテーマの友利先生のシンポジウムがあったので、これは聴講しない訳には行きませんでした。

 

 シンポジウムの中身は、

① 座長の友利先生が作業療法の研究の現状や研究をエビデンスに繋げる方法の説明

 

② その後、北里大学教授の高橋香代子先生、メンタルサポートそよかぜ病院の島田岳先生、広島大学病院の塩田先生がそれぞれ実際に行ってらっしゃる研究の思考・エビデンス構築までの流れをPICO・PECOをもとにご説明されるというものでした。

 

研究について疎い自分でも、「やられば!」という使命感と、何となく「やれるかも!」と勇気をもらえる、とても充実した内容でした。

 

中身については復習をかねて書きたいと思いますが、長くなりそうなので次回の記事にまとめていこうと思います。

 

 

3.竹林先生の教育講演

 

 

次に竹林先生の講演ですが、何気なしに陣取っていた、前から2列目の席のそのすぐ先に演者のテーブルがあり、生の竹林先生を目の前で拝見でき、とても興奮しました。笑

 

中身については、竹林先生がインスタか何かで復講されたそうなので、詳しくはそちらをご覧になると良いかと思いますが、

 

① 「CAST study」などを交えてエビデンスとは?という基本的な内容の説明

② バイアスについて分かりやすく説明

③ 実際に竹林先生が行われている研究の思考過程について説明

 

といった内容でした。

 

研究するために知っておくべきであろう基本的な内容を、とても分かりやすく説明され、その後、CI療法を各ガイドラインで推奨グレード・エビデンスレベルを高められた(作業療法ガイドラインではグレードA)一員で間違いなくあられる竹林先生が、実際にエビデンスを構築していく思考過程に触れられるのは、大変貴重でした。

 

研究にあまりふれて来なかった一療法士の私にとっては、ほぼほぼブラックボックス化していたそうした部分が線で繋がったような気がして、何だか力が湧いてきたような感覚でした。

 

始めはご本人も言われていたように緊張されていた様子でしたが、やはりそこはさすがは竹林先生で、徐々に聴衆を引き込み、最後の「10年後の自分へのターニングポイントに」のやつで完全にもっていかれました。笑

 

 

4.未来予想

 

 

友利先生のシンポで、塩田先生が研究を進めるにあたって、比較する群間で片方で不利益が考えられると、倫理的な問題で割り付けが難しいことが多いというようなことをおっしゃっていました。

 

そこでふと思ったのが、仮に竹林先生がこれからもCI療法のエビデンスレベルや推奨グレードをより高められ、そう遠くない未来に脳卒中リハビリのゴールドスタンダードな治療法になると、CI療法を選択しないこと自体が倫理的な問題になる可能性もあるのではと感じました。

 

そうなると、エビデンスレベルの低いある脳卒中の治療法の研究をしようとしても、CI療法がゴールドスタンダードになった時点で、その治療の割り付けをすることが倫理的問題になり、研究自体ができなくなるのではと。

 

 

また、これからの時代、インターネットやSNSでリハビリの情報や知識を得た脳卒中の患者さんは増えると思います。

 

臨床においても、インフォームド・コンセントから共同意思決定(Shared decision making:SDM)が推進されると、リハビリのエビデンスレベルを提示した上で意思決定し、リハビリを展開しなければいけなくなり、言葉は悪いですが現状のように療法士が自由にリハビリを展開していくことが出来なくなるのではないか。

 

エビデンスを残したCI療法は生き残り、エビデンスを残せない・残そうとしない治療法は淘汰される。

 

そんな時代を竹林先生は思い描いているのではないかと感じました。

 

さすが竹林先生、頭が良いなあと。

 

(個人的には、脳卒中の患者さんには認知神経リハを使用することが多く、それなりに効果を実感していたので、無責任ですが認知神経リハにも頑張ってもらいたいところです。)

 

5.おまけに

 

 

今回のシンポや講演は、前から2列目から聴講していたため、OT協会の中村会長も目の前で拝見させて頂きました。

協会誌などのコラムを拝見し、考え方などすごく好きな方でしたので、テンションが上がりました。

 

また、ずっと購入したかった「ペインリハビリテーション入門」や、いつも良質な情報をTwitterで提供して頂いている「STROKE LAB」代表の金子先生の「脳卒中の動作分析」、脊損の患者さんを担当し悩んでいた矢先に出会った「脊髄損傷リハビリテーションマニュアル」など最新の参考書を思い切って購入できたことも良かった点かなと思います。

 

参加前は購入するつもりだった、「Evidence Based で考える認知症リハビリテーション」の一部の執筆を、10年以上ぶりにお会いしてお話しした母校の大学の先生がされていたことを知ったのも、何だか嬉しいことでした。(金欠のため今回購入を見送りましたが…汗)

 

 

つまり、何が言いたいかというと、

 

良いことがいっぱいあるので、皆さんも来年の全国OT学会に参加してはいかが!?

 

ということです。

 

 

次回の記事は、友利先生のシンポジウムをまとめてみたいと思っていますので、どうぞご期待下さい。

 

ではでは。